何年も前から、ずっと考えていたことですが、
文字にしたことはなかったので、
書いてみますね。

回転寿司。

調べてみると、発祥は大阪で、
半世紀以上も前なんですね。

しかし、一般に普及するようになったのは、
だいぶ後ではなかったでしょうか。

回転寿司のシステムというのは、

ベルトコンベアで、
お皿に乗った寿司を流し、
お客は好きな皿をとって好きなだけ食べ、
お皿の値段(単価)×枚数で精算する、

という仕組みですね。

低価格化と明朗会計で、
寿司を身近な存在にしましたが、
実は、この単純明快な仕組みに、
市場経済の本質が端的に現れているのでは
ないかと思っているのです。

どういうことかというと、、、

回転寿司の客席は、「市場」です。
ベルトコンベアは、「流通」です。
その中で寿司職人が握っている板場は、「生産」です。
お皿は、「価格」です。
お寿司は、「商品」です。
回っている間は、「在庫」です。
誰にも取られなかったら、「廃棄」されます。

どうでしょうか。
とくに製造業のビジネスのミニチュアモデルに
なっているのではないでしょうか。

むかーし、私が学生だった頃、
ソシュール言語学の記号論からきた、

シニフィアン(意味するもの)と
シニフィエ(意味されるもの)、

の概念を応用した消費社会学、というのが
はやっていたのですが、それを思い出します。

お皿(価格)がシニフィアン
お寿司(商品)がシニフィエ

です。

こむずかしいことはさておき、
お皿の色(価格)と、実際に乗っているネタ(商品)
を比較考量し、「お値段以上」と思える皿をとる、
ということを、お客はしているわけです。

いくらいいネタでも、
お皿の色が金色とかだと、手が出ない。
乾ききったボタンエビ、とか、よく見ますね。

解凍されたばかりでワサビが透けて
見えるようなマグロの赤身は、
安い値段のお皿に載っているので、
まあ、しょうがないかな、ということで、よく売れる。

売上は、お皿の値段(単価)×枚数で決まり、
実際、精算の時に、マグロ何枚、イカ何枚とは
数えずに、100円皿何枚、200円皿何枚、
と数えますね。

シニフィアンとシニフィエの結びつきに
必然性はないのと同じように、
お皿とお寿司の結びつきにも
必然性はありません。

お店の側では、
マグロでもイカでもサバでも何でも、
お皿に載せたらよく出るものを出す、
そうでないものは出さない、
ということになります。

そうしないと、処分に回る皿(在庫)が増え、
仕入れと廃棄のダブルパンチで
無駄な費用がかさみます。

・・・と、いうわけで、
ビジネスって何?
市場経済って何?
を教えるのに、もっともわかりやすい
実例になるのが回転寿司です。

小さいこどもと食べているときに、
そういう話をするのは無粋なので
黙っていますが、、、

そろそろ就職とか、将来とか、
考え始める年頃の息子さん・娘さんと
回転寿司に行って、こんな話を
してみるのもいいかもしれませんね。

「回転寿司に連れて来たのには訳がある」

とか言って。

ひとり社長の経営力アップ通信


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